初めての転職を考える時期はいつがよい?(後編)

後編です。B,Cも多くのかたがもつ質問であると思います。

 

B「大きくキャリアを変えるなら何歳までが制限(リミット)でしょうか?」

30代半ばくらいでよくご相談があるのが、、

「大学院までいっているので、社会人デビューが遅く、10年勤務したら35歳です。もうキャリアを変えていくのは難しいでしょうか?」

「変えるとしたらどんな可能性がありますか?」

という質問をよくいただくのですね。上記の転職しやすいタイミングを逃したからと言って、マイナスとか、難易度すごくあがるということは、個人の性格やこれまでのキャリアの内容とこれから行きたいキャリアにもよるので、一概にいえませんが、確実に言えることはハードルが増えます。その内容はなんだと思いますか? 2つあります。

 

  • 即戦力性を高めた転職が必要になる

第二新卒採用でもなければ、ポテンシャル重視採用(実務能力や経験は少ないあるいはなくても、人柄やがよくモチベーションが高ければ採用する)という採用は、社会人経験12-13年もあるかたを対象にはしません。即戦力として貢献できる経験、知識、技能、人脈(クライアントネットワークを含め、業界内の人脈)があることが非常に大事で、これらがあれば、希望の転職もできます。

 

いまの時代ですと35歳くらいで、早ければ30代前半でもベンチャーのCFO,COOなどもいらっしゃいます。そういう目で、自分のキャリアをどう育てていくかをいつも考え、新たな技能の習得、新しいプロジェクトへの挑戦、リーダーシップをとるチャンスがあればとるなど、日々ご自身のキャリアゴールやこれからやってみたい仕事に必要になってくる仕事に必要な、経験をして、実力をあげていくことを実行していきましょう。

 

2.新しい頭に、考え方に変えていく大きな覚悟と努力が必要になる

 

今の会社では目をつぶっていてもできるように慣れている仕事が沢山あるかもしれません。しかし、新しい転職先ではゼロから学びスタート、ご自身の実力を証明していかなければなりません。社内の周りの人脈、人間関係も新たにスタートです。エキサイティングでもあり、また毎日同じことを繰り返して何年もたつと成長カーブがゆるやかになっている場合、急成長カーブは、人によっては大きな負荷がかかります。その覚悟をもつ(そして楽しむ)ことです。

 

新環境にとびこみ新たに関係をつくる覚悟と、即戦力をなんらかの形でおもちであれば、35歳以上で初めての転職も成立します。私の知っている例ですと、40代半ばで初めてプロパー入社した会社から別の業界の企業へ転職したかたもいますし、50代前半プロパーではいった会社の執行役員から別の業界の企業の執行役員になったかたもいます。また、35歳でバンカーをはじめたというかたも時代的には少し前の話ですがいます。

 

逆に45以降などになると、プロ経営者として、また、役員として競合他社に引き抜かれるなど、ヘッドハンティングされる経営者のケースが多くなってきます。ここにたどり着くまで、ヘッドハンティングされる実力をお持ちのかたは、専門性を高め、EQを高め、管理能力、そして経営力をたかめる努力をされています。

他社で通用するためには柔軟性が必要で、これは、転職した後にファーストトライアルがやってきます。ので。やっぱりだめだったとなるとダメージが大きいです。

たとえば今の会社から子会社に出向し立て直し(再生)を経験s、提携先へ出向して自社ではできないプロジェクトを任せてもらう、買収先に出向して経営を任せてもらうくらいの難しめのプロジェクトを行っておくことは大切です。

 

新しい環境に飛び込むことは、転職のときだけでなくても経験できるということですね。そういった訓練ができていれば、転職耐性が、転職経験がなくてもできているので、35歳以上の転職をされたとしても、なじんでいくことができるのです。

 

 

C「採用が沢山ある時期はありますか?」

 

はい、あります。

1つは、年度が替わり、新入社員がひと段落し、おちついた時期です。

たとえば3月決算の日本の企業は4月に入社式などあり、その後配属が5-6月にかけてきまります。配属後、人が足りなさそうなところがみえてくるわけです。

また、6月の決算承認の株主総会とあわせ、組織改正も発表されるため、組織繰りと人繰りが動きます。このときです。

外資では決算年度のかわりめ前後、予算がたてられたときです。12月決算が多いので、10-2月ごろとなります。

 

2つめはボーナス支払い後

外資系金融はボーナス支払いが1年に1度なので、ボーナスをいただきやめるかたがあり、典型的にこの時期が多いです。

 

3つめはもちろん、マクロ経済が良く企業業績が右肩上がりの時。営業増加、売上増で人手不足のときです。

 

4つめ PEファンドはファンドレイズ終了前から終了後。(ファンドサイズが大きくなれば人もふやします)

 

5つめ 欠員がでたとき(あたりまえですが)

必須のポジションに欠員がでたとき補填の為に募集します。ただ、景気の悪い時で予算がないときはポジションごとなくす場合もあり(これによって自然減にまかせ、リストラの代替としている)、その場合欠員募集がでません。

 

これ以外に企業のはじめての日本進出、日本戦略を重視するなど戦略変更のときや、経営者ですと引退の時期に事業承継で会社がファンドに売却されるときはマネジメント外部招致のためマネジメント案件がでてくることが多いです。

これらを頭にいれておいて、ご自身の転職タイミングとあわせて考えていくと良いですよ。

 

 

日本の人事異動制度についてひとこと

日本企業で慣行となっている人事異動というのは、表向きには個人の能力開発などの言葉も並んでいますが、個人の生涯キャリアをどんな時代においても生き抜けるという視点で考えたものでは当然なく、あくまで終身雇用を前提に、ひとつの組織のなかでというスコープでその組織内で有用な人材を育てるために、個人がどのようなキャリア形成をしていくかをを前提としてだされるもので、それだけを頼りにするのは危険です。いつも自発的にはどういうキャリアを形成したいか、強みは何で、なにが足りないか、なにを次にやりたいか、考え、社内で磨いておくなどプロアクティブに動いておくことがこれからの時代は必須です。今は副業OKの企業もふえつつあるので副業をやってみてもよいですし、社内起業をしてみるのもよいでしょう。

(なかには社外でも役に立てる人材を育てる、そとででて活躍していただくのも歓迎という気鋭の企業もありますので、全部が上記にはあたはまりませんが、そのような企業は現在のところかなりの少数派です。)

 

日本の人材流動性が欧米より低い理由は複合要素が関りますが、転職率が低いので空きがないから採用しない企業側理由と、ひとつの組織で長くいすぎで専門性は養えていないゼネラリストが増えてしまい候補者側が専門性を武器に転職ができないという現実、その根底には終身雇用制度というもちつもたれつの理由があります。

終身雇用も多くの企業で自発的にではなく保つことができずくずれつつある現在、クリエイティブにキャリアを自らつくっていくことが本当に大事で、必須になってくるのですね。(これまでも大事だったのです、ただ、これまではそれをしていなくても生き延びていけるかたも多くいましたが、これからはそれでは本当に厳しい時代になります)

本当は、中学、高校から、こういったキャリア教育が必要であるな、と筆者は考えます。

 

そういう市場の受け入れ側の態度の変化があるよ、ということを知ったうえで、大きな舵をきりたいのであれば、ご自身の立ち位置と、これからくるであろう社会経済環境を踏まえ、「いつ」「どう」動くのか戦略的に考え、プランしてみること、それだけでも仕事へのかかわりかた、日々のプロジェクトのえらびかた、異動の希望のだしかた、社内、社外とのネットワークの作り方に対する姿勢も大きくかわってくると思います。

それらが転職の際のあなたを助けます。

 

色々注意する点ばかり、できていないことばかりでへこむとおもわれたかた、けっこう厳しいなと感じられたかた、誰でも最初の一歩ははじめてです。変化やチャレンジを楽しむかどうかもご自身の姿勢にかかっていますので、楽しみながらお気に入りのキャリアを形成していく、という選択肢があることをお伝えしておきます。

 

心から願い、それにFOCUSした行動を継続してとることができたなら、何らかの形で、願った仕事にいつか就いている、もしくは思ってもみなかった自分の才能に気づき、そこで大きく開花するということが沢山起こっていることを付け足しておきます。